おひとりさまの相続でお墓や仏壇は相続財産になるの?

結婚していないおひとりさまが、
亡くなった両親のお墓や仏壇をお祀りしていることはよくあることです。
 
おひとりさまが亡くなったときに、
甥(おい)や姪(めい)はお墓や仏壇を引き取るのは、気が重いのではないでしょうか。
 
おひとりさまが亡くなったときに、
どのような財産が相続財産になるのでしょうか?
 

おひとりさまの相続、どんな相続財産があるの?

被相続人が死亡した時点で所有していた財産は、ほぼ相続財産になります。
 
どのような相続財産があるのでしょうか?
 

プラスの財産とは

預貯金や不動産など経済的価値のあるものが相続財産になるのは、みなさんご存じだと思います。
 
現金、預貯金、株などの有価証券、土地・家屋などの不動産、貴金属、骨董品、自動車などが相続財産になります。
 
その他、「権利」も相続財産となります。
 
具体的には、
ゴルフ会員権、本や音楽などの著作権、損害賠償請求権、不動産の賃借権、地上権、などがあります。
 
 

マイナスの財産とは

 
財産にマイナスがあるの?と疑問に感じる方もいらっしゃることでしょう。
 
マイナスの財産とは、借金などの負債などをいいます。
 
住宅ローンなどの借金があたります。
 
よくあるのが、
マンションの管理費や修繕積立金の滞納です。
滞納している管理費や修繕積立金がある場合には、相続人が支払う必要があります。
 
その他には、
税金や社会保険料、クレジットカードの滞納などです。
 
そして、注意が必要なのが、
亡くなった人が連帯保証人になっていなかったか、ということです。
 
おひとりさまは普段親族とのつきあいがない場合が多いので、
親族の知らない間に、連帯保証人を引き受けている場合があります。
 
この場合、
親族が相続したときに、思いがけない借金の返済を迫られる可能性もあります。
 
そこで、
亡くなったおひとりさまが連帯保証人になっていなかったか、注意して相続するかどうか判断する必要があります。
 
 

おひとりさまの相続で相続できない財産とは

 
ほとんどの財産が相続できるとされていますが、相続できない財産もあります。
 
それはどのような財産でしょうか?
 

一身専属権とは…

 
一身専属権とは、
その人だけがもつ資格や権利をいいます。
 
具体的には以下の二つに分かれます。
① 亡くなった人が個人として持っていた権利
 
たとえば、
生活保護の受給権や扶養請求権、親権などが挙げられます。
 
これらは亡くなった人が要件を満たしていたから認められていた権利であり、亡くなると権利が消滅します。
②亡くなった人が持っていた資格
 
たとえば、
医師免許や運転免許があります。
 
これらは、個人の能力に付与された資格です。
 
そこで、相続の対象にはなりません。

祭祀財産とは

お墓や仏壇などは祭祀財産とよばれます。
 
亡くなった人から相続人に相続されるように思えますが、実は、相続財産ではありません。
 
そのため、通常、相続税が課税されません。
 
民法では、第897条第1項で
「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、
前条の規定(相続の一般的効力の規定)にかかわらず、
慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、
その者が承継する。」
 
とされており、
相続人が必ずしも相続するわけではないことを規定しています。
 
ですから、
おひとりさまのおじやおばが祀っていたお墓や仏壇をおいやめいが必ず相続しなければならないわけではありません。
 
しかし現実には、
もし、甥や姪が相続人で、他に相続人がいない場合には、甥や姪がお墓や仏壇の処分をする必要がありえます。

おひとりさまの相続でお墓や仏壇は相続財産になるの?まとめ


①おひとりさまを相続する場合、プラスの財産とマイナスの財産を相続する可能性がある。
②おひとりさまが持っていた一身専属権は相続財産にならない。
③祭祀財産は相続財産にならないが、現実には相続人が処分する必要があることも。

 
おひとりさまのおじやおばを相続するおいやめいにとって、お墓や仏壇を相続するのは、気が重いことでしょう。
 
その場合、
お墓や仏壇は原則として相続財産に含まれません。
 
しかし、現実問題として、
おひとりさまのおじやおばの祀っていた先祖代々のお墓や仏壇を誰が処分するのかが問題となりえます。
 
その場合には、誰もする人がいないので、放置するか、覚悟を決めて甥や姪が処分するしかありません。
 
おひとりさまのおじやおばがいる人は、
相続した場合にどのようにするか、事前に検討しておきましょう。
 
一般社団法人マイライフ協会
代表理事 児玉浩子