おひとりさまが孤独死した後の処理

最近は結婚しない人が多くなりました。
 
国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集(2018)によると、
現在70歳代の高齢者の生涯未婚率(2000年時点で50歳前半の人)は、
男性12.57%
女性5.82%
 
それが、2015年時点の生涯未婚率は、
男性23.37%、
女性14.06%
へ急上昇しています。
 
未婚の人ばかりではなく、離婚や死別によって、おひとりさまに戻る人も多くなりました。
 
では、おひとりさまが孤独死した後は、どのように処理されるのでしょうか?
 

おひとりさまの孤独死は多いのか?

孤独死とは、
一般的に、社会との結びつきが弱く、死後数日から数週間たってから、発見されることをいうようです。
 
行政では、
孤立死という用語を使うようです。
 
孤独死に関する公的な統計データはありません。
 
しかし民間の研究成果ですが、
ニッセイ基礎研究所では14年12月、孤独死は全国で年間3万人と推計する、研究成果を発表したそうです。
 
現在年間3万人とすると、
おひとりさまが増えていることから、今後さらの増えると予測できます。

おひとりさまの孤独死の発見

 
では、おひとりさまの孤独死はどのように発見されるのでしょうか?
 
・「部屋から異臭がする」
・「郵便物がたまっている」
・「電気やガスを滞納している」
 
賃貸の部屋だと、
家賃の滞納の督促にいった大家が、部屋の中で賃借人の孤独死を発見することもあるようです。
 
このように、
何らかの異常にまわりがきがつき、発見に至るようです。

おひとりさまの身元確認と解剖

おひとりさまの孤独死が発見されると、警察が現場確認にあたります。
 
検視が行われ、身元確認と検視が行われます。
 
事件性が疑われると、行政解剖や司法解剖になることもあります。

おひとりさまの遺体の引き取り

おひとりさま遺体の身元確認が行われると、おひとりさまの親族の調査が行われます。
 
親族の調査は、
警察または市区町村が行います。
 
親族が判明したら、連絡がとられます。
 
このとき、
おひとりさまの遺体の引き取りの承諾、拒否について確認されます。
 
おひとりさまの場合、
親族との関係性が薄く、遺体の引き取りを拒否されることも多いそうです。

おひとりさまの親族が遺体を引き取った場合

親族が葬儀・埋葬をすることになります。
 
孤独死では、
親族との関係が薄いことが多いので、簡素に火葬のみということも多いそうです。
 
火葬後に遺骨を引き取らない「ゼロ葬」もありえます。

おひとりさまの親族が遺体を引き取らない場合

身元が判明しても、
親族が「関わりたくない」と遺体の引き取りを拒否する場合があります。
 
また、身元が判明しない場合があります。
 
この場合には、
「墓地埋葬等に関する法律」により、おひとりさまの遺体の発見された市区町村が火葬します。
 
一般的には、
市区町村が遺骨を一定期間保管し、保管期間終了後に、集合墓に合葬されます。

おひとりさまの孤独死後の部屋の後片付け

持ち家であれば、
原状回復について考える必要はないのかもしれません。
 
しかし、おひとりさまの孤独死の場合、
汚染状況によって、害虫や異臭の原因となり、近隣住民に迷惑をかける可能性があるので、専門業者による清掃が必要となる場合もあります。
 
賃貸住宅の場合は、原状回復義務があります。
 
すみやかに遺品を撤去し、汚染がひどい場合には、特殊清掃が必要となります。
 
賃貸の連帯保証人がいた場合には、費用の負担は連帯保証人がすることになります。
 
また、おひとりさまの孤独死後、
賃貸物件では、事故物件と呼ばれるようになり、賃借人が見つかりにくくなることがあります。
 
その分の賃料についても、連帯保証人に要求されることがあります。
 
そのため、
高齢者の部屋の賃貸借契約の連帯保証人はなり手が少ないのです。

おひとりさまが孤独死した後はどのように処理されるのかまとめ


①おひとりさまの孤独死後は親族の調査がなされる。


②おひとりさまの遺体を親族が引き取らなくても、市区町村で火葬してもらえる。


③おひとりさまの部屋が賃貸物件だった場合、原状回復は連帯保証人が負担しなければならない。

 
おひとりさまが孤独死しても、
火葬や埋葬は、市区町村が法律に基づいて行ってくれます。
 
しかし、賃貸物件では、
連帯保証人に金銭的に大きな負担をかけるかもしれません。
 
できるだけ孤独死を避け、孤独死したとしてもはやめに発見してもらえるように、普段から行き来できる人間関係をたいせつにしましょう。
 
一般社団法人マイライフ協会
代表理事 児玉浩子