虐待された親が子どもに1円も遺産を渡さない方法

一般社団法人マイライフ協会 代表理事
行政書士・ファイナンシャルプランナー(AFP)

[講演情報 9/27 13:00-]
老後準備マスター講座

 

近年、高齢者に対する虐待が増加傾向にあると、注目を浴びています。

 

平成29年年版高齢社会白書によると、

平成27(2015)年度に全国の1,741市町村(特別区を含む。)で受け付けた高齢者虐待に関する相談・通報件数について記載があります。

 

それによると、前年比で増えているそうです。

 

子どもに虐待されている親は、子どもに財産を残したくないというのはうなずけます。

 

実際の相談事例から考えてみます。

 

子どもに虐待されることは多いのか?

大人になるまで、時間、エネルギー、お金をかけて育てた子どもに、親が虐待されるときくと、驚く人も多いことでしょう。

 

上述、平成29年年版高齢社会白書によると、

 

養介護施設従事者等によるものが、1,640件で前年度(1,120件)と比べて46.4%増加したそうです。

 

そして、

養護者によるものが、26,688件で前年度(25,791件)と比べて3.5%増加したそうです。

 

養護者には、介護を引き受けている同居の家族などが含まれています。

 

子どもによる親への虐待は増えているようです。

 

ある80代の男性相談者から、こんな相談を受けました。

 

「同居する40代の息子から虐待を受けている。息子には1円も遺産を渡したくない。どうすればよいですか?」

 

話を詳しく聞くと、
殴る蹴るなどの身体的虐待ではなく、暴言を吐かれたり、大事にしているものを勝手に処分されたり、精神的、経済的な虐待のようです。

 

「親戚に相談しても、気のせいだろうととりあってもらえない。それもつらい」

 

身体的な虐待であれば、
アザができたり、ケガをしたり、目に見えるので、虐待されていることが分かりやすいのですが、

 

精神的・経済的虐待だと外部からはなかなか分からないものです。

 

そこで、相談者は、せめて遺産だけは息子に渡したくないと考えたようでした。

虐待された親が、子どもに1円も遺産を渡さない方法

子どもに虐待された親が子どもに遺産を渡さない方法があるのでしょうか?

 

実は、あるのです。

 

そこで、どのような方法をとることができるのか説明します。

相続廃除の請求をする

相続を開始した時に相続人となる子どもなどを推定相続人といいます。

 

推定相続人のなかで、親などの相続される人(被相続人)を虐待したり、重大な侮辱をしたものから相続権を奪うことができます。

 

これを相続廃除といいます。

 

手続としては、被相続人自身が家庭裁判所へ請求することになります。

 

相続排除されると推定相続人は相続権を失います。

遺言書に廃除の意思表示をする

相続排除は、遺言書で廃除について記載することでもできます。

 

この場合、遺言書の中で、
「相続人〇〇から虐待を受けたので、相続排除を希望する。」
旨の記載をします。

 

遺言書での廃除なので、家庭裁判所へ請求は、遺言執行者によって行われます。

 

相続排除されると相続人は相続権を失います。

相続排除される相続人

 

相続排除はすべての相続人に対しできるのでしょうか?

 

実は、相続排除できる相続人は遺留分を持つ者だけです。

 

そこで、親や祖父母などの直系尊属や子ども、配偶者のように遺留分を持つ者について相続排除ができます。

 

しかし、兄弟姉妹のように遺留分を持たない相続人は相続排除の対象になりません。

 

そこで、兄弟姉妹から虐待や重大な侮辱を受けた場合には、遺言書で兄弟姉妹へ遺産が渡らないようにする必要があります。

相続排除した場合、誰が相続人になるの?

子どもに虐待されたため、子どもを相続排除したとします。

 

もし、子どもに孫がいた場合、孫が子どもに代わって相続します。

 

これを代襲相続といいます。

 

子どもに孫がいなかった場合、
他の相続人(直系尊属や兄弟姉妹)が相続することになります。

 

 

虐待された親が、子どもに1円も遺産を渡さない方法まとめ


①子どもに虐待される親は増加している。
②子どもに遺産を渡さない方法として、相続排除がある。
③相続排除は家庭裁判所へ請求する。

 

 

親が子どもから虐待されるのは、悲しいことです。

 

その時に、親が子どもに1円も遺産を渡したくないと考えるのは自然なことです。

 

その時に使える手段が、相続排除です。

 

家庭裁判所へ請求することで相続排除できます。

 

相続排除は、親が亡くなった後の相続についてのものです。

 

虐待がひどい場合には、虐待からのがれるため、行政の窓口へ相談に行きましょう。

 

身体的虐待では、親が命を落とす可能性もあります。
すみやかに、支援を受ける必要があります。

 

家庭内のことであるから、家庭の恥をさらすのはイヤだと、できるだけ家庭内で処理しようとする人もいますが、家庭内ということで、よけいにエスカレートする場合もあります。

 

虐待に対しては、
すみやかに外部の協力を得ることも重要です。

 

一般社団法人マイライフ協会

代表理事 児玉浩子

 

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