老後の住居は賃貸か持ち家か?

高齢になると、
全国の賃貸アパートやマンションで入居を拒まれるという報道が多数なされています。
また、高齢になると、
連帯保証人が見つからないという問題も報道されています。
他方、
将来の住不安をうたい文句に、狭小の新築分譲マンションも増えているそうです。
また、
高齢者向け分譲マンションも増えています。
そこで、
高齢者になっても持ち家が必要か検討します。

老後の住居、賃貸でなぜ貸し渋り?

国土交通省のが発表した「民間賃貸住宅における入居選別の状況」によると、高齢者世帯に対する入居に拒否感がある賃貸人の割合は70.2%でした。(平成27年12月に公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査結果)
高齢者になると、
突然の事故や病気、孤独死などのリスクが一般的に高くなります。
そこで、
賃貸オーナーは、何らかの事故物件となることを恐れ、収入や貯蓄があっても高齢者には部屋を貸しにくくなります。
事故物件になると、
原状回復に高額な費用がかかりますが、単身の高齢者の場合、亡くなった後に支払われない可能性が高くなります。
事故物件になると、
事故物件に住みたいという人が少ないため、なかなか次の借手が見つかりにくくなります。
そのため、
空室期間が長くなり、また、賃料も通常より低くなります。
ローンを組んで賃貸アパートやマンションを購入することが多い賃貸オーナーにとって、高齢者に部屋を貸すことによって、事故物件になることは大きな痛手となります。
そこで、
高齢者への賃貸物件の貸し渋りが起きることになります。
 

老後の住居、持ち家が必要か?

 

狭小(コンパクト)マンション

 
最近では、
シングル向けに20平方メートルから30平方メートル台の新築マンションが多く供給されています。
従来は、
シングルの若年層向けの賃貸物件としての供給が多かったように思われます。
しかし、
近年では、結婚をしない中高年の購入も増えているそうです。
将来、年金暮らしとなった場合に、
家賃負担を軽減できるので、コンパクトマンションを購入するのも有効だといえます。
また、
高齢で賃貸物件への貸し渋りへの対策として、コンパクトマンションの購入も有効といえます。
自分の持ち家であれば、
賃貸アパートやマンションのように連帯保証人も不要なので、老後の住居として、持ち家を購入するのは有効といえます。
 

高齢者向け分譲マンション

 
近年は、
高齢者向け分譲マンションも増えてきています。
共用施設として、
ダンスホールや、ゴルフ練習場があったり、レクリエーションとして、1日バス旅行などイベントも定期的に計画されていたり、元気な高齢者にとって退屈することなく生活できるように工夫がなされています。
また、
食事のサービスがあったり、生活面での利便性があります。
高齢者の見守りサービスが常備されていたり、コンシェルジュがいたり、様々なサービスがあることもあります。
ただし、費用面では、
物件の購入の他、入居時に一時金が必要であったり、月々のサービス料が必要であったりするので、ある程度、金銭的に余裕が必要となります。
金銭的に余裕がある場合には、元気なうちに移住することも有効といえます。
 

老後の住居、賃貸では?

 
老後は民間の賃貸アパートやマンションでは、上述のように貸し渋りにあうことが予想されます。
そこで、おススメしたいのが、UR都市機構の賃貸物件です。
 

UR都市機構の賃貸物件

 
かつての公団団地といえばわかりやすいでしょうか。
 
今は、
タワーマンションがあったり、様々な間取りの新しいマンションもあり、かつての団地とはイメージが一新した物件も多くあります。
 
そして、
高齢者が新規に契約する場合、4つのメリットがあります。
これは、
UR都市機構のホームページにも大きくうたっているものです。
 

礼金ナシ

 
入居時に必要なものは、
敷金(2か月分)と日割りの家賃・共益費だけ。
 

仲介手数料が不要

 
URでの部屋探しは、
UR営業センター、UR賃貸ショップ、現地案内所等URの店舗で行われており、仲介手数料が不要。
 

更新料が不要

 
更新は自動更新で、更新料が不要。
 

保証人が不要

 
URでは保証人が不要で、契約時には本人確認のみ。
 

URでは高齢者には家賃の減額も

 
UR都市機構の賃貸物件では、
一定の条件の高齢者向けに家賃の減額が行われています。
 

高優賃家賃減額制度

 
高齢者向け優良賃貸住宅に新たに入居する又は高齢者向け優良賃貸住宅に現にすんでいる低所得の高齢者が対象の家賃減額制度です。
 
家賃の減額について国費から支援がでています。
 
自分が家賃減額の対象か確認することをおススメします。
 

家賃改定特別措置

 
継続家賃改定ルールに基づき家賃が引き上げとなる、現に住んでいる低所得高齢者などの世帯が対象の家賃減額制度です。
 
家賃の減額について国費から支援がでています。
 
自分が家賃減額の対象か確認することをおススメします。
 

UR賃貸のデメリット

 
高齢になると、
友人等が近所にいたりして、住んでいる地域を離れることが難しい場合があります。
 
現在、
自分が住んでいる地域にUR都市機構の賃貸物件があればよいのですが、
ない場合には、
今まで住んでいた地域から離れて引っ越しが必要となります。
 

老後の住居は賃貸か持ち家か?まとめ

 
①民間の賃貸物件では高齢者への貸し渋りが多い。
②高齢者への貸し渋り対策として持ち家は有効。
③高齢者が賃貸する場合、UR都市機構の物件は有効。
 
民間の賃貸物件では、現在高齢者への貸し渋りが常態化しています。
 
賃貸アパートやマンションのオーナーにとって、事故物件になることを避けるため、やむをえない事情があり、当面続くものと思われます。
 
そこで、
貸し渋り対策として、資金に余裕がある場合には、コンパクトマンションや高齢者向け分譲マンションなどの持ち家を購入することも検討してみましょう。
 
どうしても、現在住んでいる地域から離れたくないなどの事情がない場合には、UR都市機構の賃貸物件もあるので、検討してみてはいかがでしょうか。
老後の住居の選択肢の幅が広がると思いますよ。

一般社団法人マイライフ協会

代表理事 児玉浩子