老後に必要な張りのある生活とは?
老後の生活には張りのある生活が必要だといわれます。
それはなぜでしょうか。
現役時代には仕事に追われ、いつの日にか迎える定年退職後の生活を、指折り心待ちにしていた人も多いと思います。
では実際に、
定年退職を迎えた後の生活はどのようなものでしょうか。
思い描いていたものと同じでしょうか。
実際に定年退職を迎えた人の相談から老後の生活に必要なものについて考えます。
老後の生活、「夜寝ることもできない」
ある60代の女性から相談がありました。
「心配事が多すぎて、夜も寝ることができない」
というのです。
女性の1日の生活についてきいてみました。
すると、
60代になり仕事をリタイアしたので、1日中家で過ごしているというのです。
未婚で子どももなく、親戚といえば、遠くにたった1人いる従兄弟だけ。
親戚づきあいも、ほとんどありません。
趣味もなく、友人も多くないので、一日中家にいてぼーっと過ごしているというのです。
現役時代は忙しく、
朝早くから夜遅くまで仕事をしていたので、ご近所との付き合いもありません。
たまに朝、
ごみ出しのときに挨拶するだけの付き合いです。
一日の生活でやらないといけないことは、自分の食事の準備と、簡単な家事だけ。
それも自分のためにやるのですから、決まった時間にしないといけないというものでもありません。
生活費は年金でまかなっているので、特に働く必要はありません。
年金で生活するので、
倹約を徹底し、毎月少しずつ貯金ができているといいます。
倹約を徹底するため、現役時代の知り合いで定年を迎えた人から、ときたまランチなどの誘いを受けたこともありましたが、すべて断ってしまいました。
そのため、
定年後、数年もしないうちに誰からも誘われないようになりました。
1日中、
誰とも会話せずに生活することも多いと言います。
やることも会話する相手もいないため、1日中同じことを延々と考えるようになりました。
そのうち、
心配事がどんどん頭の中で大きくなって、夜も眠れないのだといいます。
もちろん、
生活のリズムもすっかり崩れてしまいました。
老後の生活で必要なのは「キョウイク」と「キョウヨウ」
老後の生活で必要な「キョウイク」
先程の60代の女性の相談者には、「キョウイク」を提案しました。
「キョウイク」とは、今日行くところのことです。
どうしても、今日行かなければならない用事を作ることを提案しました。
彼女はたいへんな倹約家なので、お金がかかることは一切したくないと言います。
そこで、このような提案をしました。
たとえば、公立の図書館はお金がかかりません。
朝9時から夕方5時、場所によっては、もっと遅くまで開いています。
そこで、
すっかり生活のリズムが崩れてしまった相談者に、朝9時に図書館へ行って、今日の新聞の朝刊を読むことをすすめました。
毎朝決まった時間に行くとことを作ることによって、生活のリズムを取り戻す作戦です。
相談者は毎日ではないものの、週に2~3日、図書館へ通うようになりました。
図書館へ通うようになって、自分と同様に、定年退職後、図書館へ通う人がいることに気付いたそうです。
よく顔を合わせるので、自然とあいさつするようになりました。
そのうちに、
世間話などもするようになり、話す相手ができました。
図書館に通った後には、少し散歩してから家に帰るようにしました。
すると、
ほどよく疲れるようになり、夜自然と眠れるようになったとのことです。
老後の生活で必要な「キョウヨウ」
次に、
老後の生活で必要なのは「キョウヨウ」です。
「キョウヨウ」とは、
どうしても今日しなければならない用事です。
老後の生活では、
現役時代と異なり、どうしても、今日しなければならないという用事は減ってしまいます。
そこで、老後の生活では、
どうしても今日しなければならない用事をスケジュールに入れるようにしましょう。
たとえば、
市区町村で行っている無料セミナーやイベントで興味を持てそうなものに申し込んでみてはいかがでしょうか。
「〇月〇日 ××時から ○○セミナー」と手帳に書き込んで、実際に参加してみてはいかがでしょうか。
無料セミナーであれば、お金もかかりません。
無料でなくても、数百円で参加できるものもあります。
老後資金で無理のない範囲で、セミナーやイベントへ申込んで、「キョウヨウ」を増やしましょう。
そうすることで、老後の生活の張りがでてきます。
老後の生活に必要な張りのある生活まとめ
①老後の生活で一日中家にこもらない。
②老後の生活には「キョウイク」が大切。
③老後の生活には「キョウヨウ」が大切。
最近は人生90年時代と言われるようになりました。
定年退職を65歳で迎えたとしたら、25年もの長い時間が残されています。
せっかくの自分だけの時間ですから、一日中家でぼーっと過ごすことなく、有効に使いたいものです。
今日行くところと、今日やる用事、どちらも工夫次第でお金をかけずに見つけることができます。
外出し身体を動かすことで、からだとこころの健康にも役にたちます。
健康寿命をのばすことにもつながります。
一般社団法人マイライフ協会
代表理事 児玉浩子