終活の準備は何をするの?

最近は、終活は葬儀などの人生のしまい方のことだけではないと、理解が進んできました。そのため、終活を始めてみようかなと思ってはみたものの、逆にいろいろと思いつき過ぎて、具体的に終活として何を準備しようかと迷ってしまう方が増えてきました。
 
これから終活を始めようとする50代の方であれば、まだまだお元気ですから、あれこれと迷ってしまうことも多々あります。
 
それに終活には、決まったやり方ってあるのかどうかも気になりますよね。
 
そこで、これから終活を始めていくために、どんな準備をし、どんな行動を起こせばよいのかを整理していきましょう。
 

終活準備ノートで何をするかが整理できる。本当に望んでいたことが見えるかも

 
終活と一言でいっても、その中身にはいろいろなものが含まれていますよね。終活としてのおけいこ事や相続問題、終活としての身辺整理や断舎利、思い出作り、そして人生最後のときの過ごし方等…。これらを一度に全部やろうとすると、大変ですし、肝心なことを忘れてしまう可能性もあります。
 
そこで、まずはいろいろと思いつく内容をノートに書き出してみることをお勧めします。何をどのような順番でやっていこうかという、優先順位を付けることができるからです。
 
そして、頭の中にあるものを文字にしてみることで、終活として本当は何を一番望んでいたのかがみえてくることもあるのです。

悔いのない人生にするための終活例

 
70代の女性のお話です。終活として様々なイベントに参加されておられました。
 
ところが、様々な活動をすればするほど、焦りを感じられたのだそうです。そこで、今までしてきた終活やこれからやりたいと思っていることをノートに全部書き出してみたら、ようやくその焦燥感の原因が分かったというのです。
 
彼女は結婚し3人の子どもがいましたが、30歳のときに婚家に子どもを残して、離婚し実家に戻りました。現在は、40代になった子ども達とは住所や電話番号は交換できる関係になってはいますが、ほとんど他人のような関係です。
そのため、彼女は実家のお墓を継承してはいますが、子ども達に実家のお墓を継承してもらうわけにはいきません。
彼女の承継したお墓を生きている間になんとかする必要があることに、彼女は気付いていました。
しかし、彼女の姉妹達や親戚達に何を言われるか心配になり、先延ばしにしていたのです。
 
いろいろな終活セミナーに通っても、本当に彼女が知りたいことについて説明してくれるものがなかったのです。そのため、様々な終活イベントに参加していたことに気付きました。
 
このように、終活としてやりたいことをノートに書き出してみると、終活として望んでいることの本質を見つけ出すこともできるのです。
 

終活準備ノートと終活ノート(エンディングノート)は違うの?

 
よく似た二つの言葉ですが、「準備」がつくかつかないかで、その役割は全く異なります。2種類のノートが果たす役割を確認して、みなさんの終活に役立てていただきたいと思います。
 

終活準備ノートとは?

 
ここでいう終活準備ノートとは頭の中を整理し、本質的に望んでいることを見つけ出すためのものです。ちょっとおしゃれな表現を使うと、“心をのぞく鏡”のようなものをイメージして頂くと分かりやすいかもしれません。
 
自分のために作成するもので、他人に開示する必要はありません。
 
50代後半の未婚男性が、この先何があっても安心できるようにと、終活に取り組んでおられました。資産作り、もしものときのための自分情報のまとめ、万が一のときの遺言書作成…。他人様に迷惑をかけたくはないからという、終活を始めた動機は、大変すばらしいものです。
 
ですが、終活準備ノートを改めて書いてみたところ、終活の最終目的に気付かれたのです。この男性の最終目的は、なんと孤独からの解放だったのです。それって、終活と関係があるのかと思われるかもしれませんが、このようなケースは男性に多いように思います。
 
もちろん将来の不安があるからこそ、今まで真摯に終活に取り組んでいたのです。しかし心の奥底に隠れていた本当の目的は、一人での生活にピリオドを打つことだったのです。終活を通して、人と触れ合う時間を持ちたかったということが分かったのです。
 
仕事一筋で、プライベートでは自己中心的に快適な暮らしをすることを良しとしていました。しかし人生も後半に入り、孤独感から抜け出せなくなったのです。この男性はその後、婚活を始めたそうです。
 

終活ノート(エンディングノート)とは?

 
ここでいう終活ノート(エンディングノート)とは、自分に万が一のことが起こった場合に、家族などに参考にしてもらうためのノートで、他人に読んでもらうことが前提となります。
 
エンディングノートとは、当初は高齢者が人生の終末期に迎える死に備えて自身の希望を書き留めておくノートのことを意味していたようです。
しかし、現在の終活のためのエンディングノートには、死亡時に備える内容ばかりではなく、生きている間の様々な希望について書き込む欄もあります。
 
例えば、もしも介護が必要となったときに、どのような介護を受けたいのか。
もしも終末期を迎えた時に、延命治療を望むのか。
このように、高齢者の意思を確認する項目もあります。
現在の終活のためのエンディングノートは、死に備えるばかりではなく、老後の生活についての希望を事前に意思表示するものでもあります。
 
エンディングノートについては、「子どもと別居する親の終活のための正しいエンディングノート活用法」「終活って何をするの?自分と遺族のためにやっておくべき身辺整理7つのこと」もご覧ください。
 
 

終活の準備は何をするの?まとめ

 
①終活準備ノートで頭の中を整理しましょう。
②終活の本当の目的を見つけ出しましょう。
②本当の目的が見つかれば、充実した終活になります。
 
終活という短い言葉の中には、いろいろなものが詰め込まれています。習い事をして充実した生活を送ることであったり、将来の生活資金を作ることだったり、自らの葬儀やお墓を用意することだったり、身辺整理や断舎利であったりと、本当に多方面に及ぶのが、終活です。
 
活動内容が豊富であればあるほど、活動の大事な幹を見失いがちです。だからこそ、終活に取り組む本当の目的を見つけ出すことで、優先順位を明確にしましょう。
 
そうすれば、充実感をもって終活に取り組むことができるのです。終活で何をするかを明確にするには、終活の目的が明確でなければいけないのです。目的はどんなものでもよいのです。何のためにそれをしたいのかを考えましょう。
 
男性が、人生の終わりを迎えるにあたっての資金を作りたいという場合、それは究極的には妻への愛だったりするわけです。自分が先に亡くなる可能性が高いので、遺される妻のためにお金を用意しようと考えるのです。そうすると、次に重視すべき終活の中身が見えてくるのではないでしょうか。
 
このように終活の準備として大事なことは、終活の目的を見つめなおすことにあります。

一般社団法人マイライフ協会

代表理事 児玉浩子