介護で兄弟姉妹が協力してくれないときは?
親の介護を一人で引き受けるのはたいへんなことです。
兄弟姉妹がいるのに、
親の介護で協力してくれないことがあります。
そのようなときには、
どのように考えればよいのでしょうか。
介護で兄弟姉妹が協力してくれない
兄弟姉妹は、
親の介護の協力をしてくれて当たり前でしょうか。
親の入院では、
病院へ衣類を届けたり、洗濯物を持ち帰ったり、
いろいろ親のことをしなければなりません。
在宅介護であれば、
一人暮らしの親の様子を見に行ったり、
親のところへ立ち寄ることも必要です。
ところが、
親の様子を頻繁に見に行く子どもがいる一方、
親が介護が必要となったとたん、
まったく顔を見せなくなる子どももいます。
そのようなときには、
介護を成り行きでメインで行うようになった子どもは、
「なぜ自分ばかり犠牲にならないといけないの?」
と不満を持つこともあるでしょう。
法律上は、すべての子どもが親を扶養する義務を負っています。
しかし、
現実は子どもすべてが同じように親と関わることは難しいものです。
兄弟姉妹とはいえ、
親から独立してそれぞれ家族ができたりすると、
家族構成や、経済状況も、
実家からの距離もすべて異なります。
そうすると、
実家から遠い子どもや、
経済状況が厳しい子どもなどは、
自分自身の生活に精一杯ということもありえます。
親の介護で兄弟姉妹が協力してくれない状況が生じてしまうのです。
介護で兄弟姉妹に協力してもらう方法
介護の役割分担を話し合う
親の介護で兄弟姉妹に協力してもらうためには、
親の状況を一番把握している子どもが中心となって、
親の介護の役割分担を決めましょう。
兄弟姉妹の中には、
お金を出すのは難しいが、
週1回仕事帰りに親の様子を見に行ってもよいなど、
自分ができる範囲で協力を申し出てくれる人があるかもしれません。
親の金銭管理は誰がするのか、
親の介護の手続きなどは誰がするのか、
親が入院したときには、できるだけ延命治療するのか、
それとも、延命治療はしないことにするのかなど、
決めなければならないことがたくさんあります。
親の介護にはまったくたずさわっていないのに、
突然やってきて、
親の介護に口を出したり、
親が意識不明になってから、できるだけ延命治療しろと騒ぐ子どももいるそうです。
そのようなことがないように、
親の介護について、
普段から兄弟姉妹でいろいろなことを話し合っておきましょう。
無理のない範囲で、
兄弟姉妹から協力を引き出せるかもしれません。
介護の収支明細書を作成する
親の介護で協力してくれない兄弟姉妹が、
親が亡くなったあとの遺産分割協議などで、
親の介護のために使ったお金について、
介護した子どもが使い込んだと疑念を抱いて、
協議が紛糾することがあります。
そこで、
親の介護のために使ったお金については、
きちんと収支明細書を作成しましょう。
できるだけ、領収書なども残すようにします。
そうすることで、後に、
親の介護で協力してくれない兄弟姉妹からの追及に、
きちんと収支明細書をみせることで、
対応できます。
注意すべきはおひとりさま
親の介護で、おひとりさまは注意が必要です。
結婚せずに親と同居しているおひとりさまの場合、
親に介護が必要になると、
親の介護の中心者にならざるをえないことが多いようです。
結婚して独立した兄弟姉妹たちは、
子どもや配偶者がいたり、
中には配偶者の親を介護していることもあります。
その点、
結婚していないおひとりさまは、
子どもも配偶者も義理の親もいないわけですから、
身軽です。
そこで、親にも兄弟姉妹にも、
親の介護を期待されます。
しかし実際には、
おひとりさまは配偶者などの頼れる人がいない人ともいえます。
介護の中心者となったときに、
ひとりで何でも抱え込まざるを得ないのです。
おひとりさまがたった一人で親の介護を抱え込むと、
精神的にも肉体的にもストレスを抱え込むことになります。
そのようになると、
親を虐待する人も出てきます。
ですから、おひとりさまは、
親や兄弟姉妹からの介護に対する期待に応えることだけではなく、
兄弟姉妹に対して、親の介護について協力を求めましょう。
また、身体的な介護については、
介護保険の介護サービスも利用し、
ホームヘルパーやケアマネージャーに相談して、
できるだけストレスをためないようにしましょう。
親の介護は、
親がなくなるまで続きます。
その期間は数十年におよぶかもしれません。
親の介護だけで人生のうちの数十年を使うことのないように、
兄弟姉妹との連携関係を築けるといいですね。
介護で兄弟姉妹が協力してくれないときは?まとめ
①親の介護で兄弟姉妹が協力してくれないときには、役割分担について話し合う機会を作りましょう。
②親の介護では、介護に使った費用について収支明細書を作成しましょう。
③親の介護では、おひとりさまは一人で介護を抱え込まないようにしましょう。
親の介護で兄弟姉妹に協力してもらうために、
役割分担の話し合いをしましょう。
それでも、
遠くに住んでいるから、
経済的に厳しいから、
などと言って、親の介護に協力してくれない場合もあります。
残念ながら、兄弟姉妹は親の介護をまったく引き受ける気がないのでしょう。
そのようなときは、
その兄弟姉妹がいないものだと思って、
親の介護を引き受けざるを得ないかもしれません。
親の介護で兄弟姉妹をあてにせず、
自分自身で負担が少なくなるように、
親の介護のプランをたてましょう。
一般社団法人 マイライフ協会
代表理事 児玉浩子