介護費用の還付制度
親にとって必要な介護サービスを多く利用したため、
介護費用が高額になることがあります。
そのときには、高額になった介護費用を還付してくれる制度があります。
2018年8月現在の制度について説明します。
介護保険サービス利用の介護費用の区分支給限度額
要介護度別に介護保険からの支給限度額が「単位」で決められており、
その範囲内で利用した分のサービス費用の1割または3割が自己負担となります。
支給限度額を超えてサービスを利用することもできます。
しかし、
その分は、全額自己負担です。
以下の表の要介護度別の区分支給限度額は月額です。
要介護度 | 区分支給限度額 | 単位数 |
要支援1 | 50,030円 | 5,003単位 |
要支援2 | 104,730円 | 10,473単位 |
要介護1 | 166,920円 | 16,692単位 |
要介護2 | 196,160円 | 19,616単位 |
要介護3 | 269,310円 | 26,931単位 |
要介護4 | 308,060円 | 30,806単位 |
要介護5 | 360,650円 | 36,065単位 |
介護保険の所得別の自己負担割合
親の介護保険の所得別の自己負担割合はどのくらいでしょうか?
介護保険サービスを利用したら所得に応じて自己負担割合が決まっています。
2018年7月まで、介護保険制度では、利用したサービスの費用の1割又は2割の自己負担でした。
2018年8月の改正では、2割負担の対象者のうち、特に所得が高い高齢者を対象に、3割の自己負担割合が導入されました。
その基準は、現役世代と同程度の所得があるかどうかです。
(所得別の自己負担割合)
所得等 | 利用者負担割合 |
合計所得金額 160万円未満 (単身で年金収入のみ280万円未満) |
1割負担 |
合計所得金額 160万円以上、かつ、 年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身で280万円以上340万円未満、夫婦で346万円以上463万円未満 |
2割負担 |
夫婦世帯で463万円以上の年金収入とその他所得、 単身世帯で340万円以上の年金収入とその他所得 |
3割 |
3割負担になったとしても、上限額の定めがあるので、単純に1.5倍の負担額となるわけではありません。
その制度を高額介護サービス費といいます。
介護費用が高額になったときにつかえる還付制度
親の介護費用が高額になったときに利用できる制度はないのでしょうか?
実は、
親の介護費用が高額になったときに利用できる還付制度があるのです。
高額介護サービス費
親の介護費用が高額になったときに利用できる還付制度は、
高額介護サービス費という負担軽減制度です。
高額介護サービス費は、介護費用の負担を軽減する制度です。
1か月に払った自己負担額が上限額を超えると、
上限額を超えた分の払戻を受けることができます。
(所得区分に応じた自己負担の上限月額)
現役並み 同一世帯に課税所得145万円以上の第1号被保険者がいて、第1号被保険者の収入が520万円(単身の場合は383万円)以上 |
(世帯)4万4400円 |
一般 ※ | (世帯)4万4400円 |
住民税非課税 | (世帯)2万4600円 |
前年の合計所得金額と年金収入の合計額80万円以下、生活保護を受給 | (世帯)2万4600円 |
(個人)1万5000円 |
※同じ世帯のすべての第1号被保険者(サービスを利用していない人を含む)の利用者負担割合が1割の世帯は年間上限額446,400円(2017年8月から3年間の時限措置)。
高額介護サービス費の申請
高額介護サービス費は申請しなければ還付を受けることはできません。
高額介護サービス費の対象者には、
住んでいる市区町村から申請書が届き、
窓口または郵送で申請します。
高額介護サービス費は世帯ごと
高額介護サービス費は世帯ごとで計算されます。
もし、両親が二人とも介護保険の介護サービスを利用している場合には、
両親二人分を合計して自己負担の上限額を超えていれば、
市区町村に申請して介護保険の自己負担の上限額を超えた金額の
還付を受けることができます。
介護費用が高額になったときに使える還付制度まとめ
①介護保険の自己負担割合が3割になった人でも、月額の自己負担上限があるので、負担はそれほど増えない。
②親の介護費用が高額になったときには、高額介護サービス費という制度が使える。
③高額介護サービス費という制度は申請することにより、還付を受けることができる制度である。
親の介護費用が高額になった場合には、
所得区分に応じた自己負担の月額上限が決まっているので、
超えた分は高額介護サービス費として申請すれば、
還付を受けることができます。
自己負担割合が2~3割の場合も、
介護保険の自己負担の月額上限が決まっているので、
それほど負担額が高額になることはありません。
高額介護サービス費の制度を上手に利用しましょう。
一般社団法人 マイライフ協会
代表理事 児玉浩子