退院後の生活のための準備3つのポイント
高齢になると入院する機会が増えます。
医療機関では長く入院することが難しく、
治療後すぐに退院しなければならいなことも多くなりました。
そこで、
家族の退院後の生活のための準備について説明します。
2018年3月時点の法律制度に基づいて説明します。
退院後の生活の準備ために入院期間を知っておこう
入院というとどのくらいの期間を思い浮かべるでしょうか。
かつてのように、
入院すると完治するまで長期間の入院をイメージする人もいることでしょう。
しかし、現在では、
「早期発見、早期入院、早期治療、早期退院」の考え方に基づき、入院期間も短くなりました。
入院の目的、機能により、入院期間が異なります。
そこで、
退院後の生活の準備のために、病院への入院期間について知っておきましょう。
病院の種類 | おもな機能と目的 | 平均の入院期間 |
高度急性期病院 | 急性期の患者に対し、高度な医療を提供し、命を助ける。救命救急病棟、集中治療室などがある。 | 7~10日 |
急性期病院 | 急性期の患者に対し、状態の早期安定を目指す。 | 14日以内 |
回復期病院 | 急性期を経過した患者へ、在宅復帰に向けた医療やリハビリを提供する。 | 90日~150日 |
慢性期病院 | 長期にわたり療養が必要な重度の患者や障害者、難病患者等の受け入れを行う。 | 180日程度(疾患や条件による) |
上述の病院に地域包括ケア病棟が設置されることもあります。
地域包括ケア病棟とは、
急性期医療を経過した患者及び在宅において療養を行っている患者等の受入並びに患者の在宅復帰支援等を行う機能を有し、地域包括ケアシステムを支える役割を担う病棟または病室をいいます。
退院後の生活の準備として事前に解決方法を考える
退院後は入院前と同じ状態とは限らない
治療とリハビリが終わると退院です。
理想的な退院は、
入院前と全く変わらない心身の状態での退院です。
しかし、現実には、
脳梗塞での緊急入院をイメージして頂くと分かる通り、後遺症により退院後は入院前と同じ状態ではないことも多いのが現状です。
そこで、
入院中に退院後の生活の準備として、心配ごとに対して事前に解決方法を考えておきましょう。
退院後の生活のために事前に解決方法を考える
退院で自宅に帰る手段
退院して病院から自宅に戻る手段を決めておきましょう。
具体的には、
子どもに車で迎えに来てもらう、タクシーで帰るなど、事前に決めておけば当日慌てなくてすみます。
歩行できるか
病気やケガの後遺症で、自力で歩いて移動できない場合があります。
その場合、
杖やシルバーカーを使う、車いすやストレッチャーを使うなど、事前に決めておけば、慌てなくて済みます。
もちろん、
入院した本人が自分で手配できない場合もあり得ます。
その場合には、
家族が手配する必要があります。
排せつは一人でできるか
病気やケガの後遺症で、一人でトイレを使用できなくなる場合もあります。
その場合、
歩いてトイレまで移動するのが難しい場合には、ベッドの横にポータブルトイレを設置することも必要です。
また、
一人で座ることすら難しい場合には、オムツの利用についても検討が必要となります。
退院後の生活を考える上で、
排せつが一人でできるかどうかは重要なポイントです。
一人で食事ができるか
病気やけがの後遺症で、
箸やスプーンを握れなくなったりして、一人で食事ができなくなることがあり得ます。
その場合、
誰が食事の介助をするのかが退院後の生活を考える上で、重要なポイントとなります。
また、
一人で食事はできるが、食事の準備が難しい場合があり得ます。
その場合、
配食サービスの手配や食事の準備をしてくれるヘルパーの手配などが必要となります。
退院後に介護が必要となる場合もあります。
介護保険の申請については、
「家族の介護保険を申請する場合の注意点2つ」を、
在宅介護でかかる費用については、
「家族を在宅介護する場合にかかる費用」を、
要介護度に応じて利用できるサービスについては
「要介護度別の利用できる介護保険サービス」をご覧ください。
退院後の生活についての相談窓口を知っておく
医療福祉相談室、地域医療連携室
病院には、
医療福祉相談室や地域医療連携室などの名称で、退院後の生活についての相談窓口があります。相談窓口には、医療ソーシャルワーカー、退院調整看護師、連携事務員という、退院後の生活などについて相談にのる専門職がいます。
医療ソーシャルワーカー
医療ソーシャルワーカーは医療や福祉の各種制度に関する相談や、療養中の不安や悩みの相談、退院後の生活や経済的相談などについて助言や提案を行います。
退院調整看護師
退院調整看護師は、
患者や家族が安心して退院できるようサポートする看護師です。
経管栄養のままの退院や、手術後の創部の消毒、ガン末期の麻薬の管理など、退院後に在宅でやらなければならないことがあります。
そこで、
退院調整看護師は、退院前に医療行為の方法やその注意点などを指導し、退院後に在宅で生活できるよう支援を行います。
医療連携事務員
医療連携事務員とは、
地域の病院や診療所等と連携をはかり、患者がスムーズに入院(転院)できるように入院のサポートをします。患者や家族の相談に乗り、主治医や看護師、医療ソーシャルワーカーにつなぐ役目も負います。
退院後の生活のための準備3つのポイントまとめ
・退院後の生活の準備ために入院期間を知っておきましょう。
・退院後の生活の準備として事前に解決方法を考えておきましょう。
・退院後の生活についての相談窓口を知っておき、活用しましょう。
一般社団法人マイライフ協会
代表理事 児玉浩子