おひとりさまが相続人を探す方法
大人になってから、地元を離れ都会で仕事をしてきたおひとりさまのなかには、親族とのつきあいが、ほとんどないという人もいるのではないでしょうか?
かくいう私も、
親族とはほとんど付き合いがなく、祖父の葬儀で十数年ぶりにおじやいとこたちに会えたという程度の付き合いしかしていません。
おひとりさまがいざ遺言書を作成しようと、普段つきあいのない親族の消息を探すことは容易ではありません。
そこで、どのように、自分の法定相続人を探せばいいのかをご紹介します。
おひとりさまが親族を探すとき
おひとりさまが親族を探すのは、どのようなときでしょうか?
よくあるのが、遺言書を作成するときです。
結婚せず子どもがいないおひとりさまが、遺言書を作成しようとしたときに、
ふと数十年前に兄弟姉妹が連れていた甥(おい)や姪(めい)を思い出すことがあります。
そのようなときに、
少しでも血のつながった甥や姪に財産を残したいと考えるのは自然なことです。
ところが、公正証書遺言では、
通常、財産を残される受遺者の住所が分からないと作成できません。
そこで、
財産を残される受遺者の住民票が必要となります。
そのために、
おひとりさまは甥や姪の所在を探すことになります。
おひとりさまの親族の探しかた
おひとりさまに限らず、
親族を探し出すのは、専門家でなければ難しいのが現状です。
以前は、
誰でもが戸籍謄本や住民票などを取ることができました。
しかし、個人情報を悪用する人が多発したため、
現在では、
自分の直系の親族(祖父母、父母、子、孫)の戸籍謄本を取ることができるくらいです。
そのため、
直系の親族以外の親族を探す場合には、法律専門職(弁護士、司法書士、行政書士など)に依頼して、探し出すことになります。
その手順を説明します。
関連する戸籍謄本などをすべて取り寄せて調べる
おひとりさま本人の出生から現在までの戸籍を調べる
おひとりさまの現在の戸籍謄本から過去すべての原戸籍や除籍謄本を取り寄せ、おひとりさま本人の出生時の戸籍を割り出します。
次に、
おひとりさまの父母の出生から亡くなるまでの戸籍を調べる
おひとりさまの出生時の戸籍から父母の戸籍を割り出し、父、母、それぞれの出生から亡くなるまでの戸籍を調べます。
もしかしたら、
おひとりさまの知らない兄弟姉妹が出てくることもありえます。
そして、
おひとりさまの兄弟姉妹の戸籍を調べる
おひとりさまの兄弟姉妹の戸籍を調べ、甥や姪の出生を知ることができます。
最後に、
おひとりさまの甥や姪の戸籍を調べる
おひとりさまの甥や姪の現在の戸籍を探すことによって、次の、現在の住所を知ることができます。
おひとりさまの兄弟姉妹が多いと、
この作業だけで、数十もの戸籍、原戸籍、除籍謄本を取り寄せることになり、数か月もの膨大な時間と、実費だけで数万円~10万円以上かかることがあります。
戸籍の附票を取り寄せる
おひとりさまの親族の現在の住所を調べたければ、親族の戸籍の附票を取り寄せます。
すると、現在の住所がわかります。
ただし、注意点があります。
戸籍の附票に記載されている住所は、
親族が住民票を移したときに記録されます。
住民票を移すことなく、親族が引っ越ししていた場合、附票記載の住所に、現在も親族が住んでいるわけではないということです。
おひとりさまが相続人を探す方法まとめ
①おひとりさまが親族を自分で探すのは難しい。
②おひとりさまが親族を探したいときには、専門家に依頼する。
③親族を探すには、まず関係するすべての戸籍を調べることから始まる。
専門家に依頼しても、親族の調査には数か月もの時間がかかることがあります。
そのため、
遺言書の作成を思いったときに、すぐに調査を依頼することをおすすめします。
相続人調査の依頼には、報酬の他、実費として数万円程度はかかるものです。
時間に余裕をもって、依頼しましょう。
一般社団法人マイライフ協会
代表理事 児玉浩子