美的終活では、遺言書も不要!?

一般的に、
終活の一環で遺言書の作成をすすめられることがあります。
 
でもそれは、
あなた自身の美的感覚からいって、本当にやりたいことでしょうか。
 
自分にとって本当に必要なことを考える美的終活の観点から遺言書について考えてみましょう。
 

美的終活で、遺言書は必要か?

 
美的終活において遺言書について考える前に、美的終活という言葉をご存知ですか。
 
たぶんご存じないと思います。
 
 
なぜならば、
 
「美的終活」という言葉は、私が作った造語だからです。
 
「有終の美を飾るための活動」=「美的終活」
 
有終の美を飾るという目的のための活動が、「美的終活」。
 
有終の美を飾る自分のための活動ですから、自分の好き嫌いという美的感覚で進めることのできる「美的終活」。
 
 
有終の美とは、
終わりを立派にしめくくること。
 
どのようなことを立派と考えるかは人それぞれの美的感覚によります。
 
 
そこで、
美的終活における遺言書についても、自分の美的感覚で判断します。
 
 
書店でも多くの遺言書の書き方の本を目にします。
 
また、ネット上でも多くの遺言書に関する記事が掲載されています。
しかし、自分が死ぬことを前提にした遺言書の作成に抵抗を感じる人もいます。
 
 
ときどき、
 
「万が一のことがあるから、親に遺言書を書いて欲しいと頼むと、『縁起が悪い』と怒られる」
 
と相談を受けます。
 
 
実際、
自分が死ぬことを考えたくない人にとって、自分が死ぬことを前提に遺言書を書きたくないという人がいてもいいのです。
 
その人の美的感覚として、
「自分の死を前提とした終活の一環としての遺言書作成はしたくない」というのも、尊重されるべきです。
 
ですから、
 
美的感覚として、
「自分の死を見つめたくないから遺言書をあえて書かない」という選択する人にとっては、遺言書の作成は不要ということになります。
 

美的終活として遺言書を作成するメリット

 
では、美的終活として遺言書を作成するメリットはあるのでしょうか?
 
 
一般的に、
終活として遺言書を作成することのメリットとして、残された家族の争族を防げるといわれることがあります。
 
その他として、
・お世話になった人にお礼の意味で財産を残せる。
 
おひとりさまにとっては、
・せっかくためた財産を国にとられることから守れる。
 
など、
 
終活で遺言書を作成するすることのメリットが多く説かれます。
 
 
しかし、これは本当に重要なことでしょうか。
 
自分の美的感覚として、
「自分の死んだ後のことは考えない」という選択をした人にとって、自分の死んだ後の家族間のゴタゴタは関係ないことなのです。
 
そのような人に無理に終活だからと言って遺言書を作成させることは、その人にとって苦痛でしかないのではないでしょうか。
 
 
でも、
「自分が死んだあと家族間で争って欲しくない」という美的感覚を持っている人にとって、終活の一環として遺言書を作成することは、家族間の争族を防ぐことができるので、メリットがあります。
 
 
おひとりさまでも、
自分が死んだ後に自分の残した財産がどのようになろうとも気にならない美的感覚の人であれば、自分の死んだ後の財産のことを決めなければならない終活のいっかんで遺言書を作成することは、考える時間や作成する時間がとられるので、時間の無駄に感じられることでしょう。
 
 
しかし、
おひとりさまで自分の残した財産を遺贈することで、社会に役に立てて欲しいと考える美的感覚の持ち主にとって、終活のいっかんとして遺言書を作成することは、自分の目的達成に役に立つので、遺言書を作成するメリットがあるのです。
 
 
美的終活において遺言書を作成するメリットがあるかないかは、作成する人の自分の死後の自分の財産の処分について決定したいかしたくないかという美的感覚によります。
 

美的終活で遺言書を作成しないデメリット

 
自分の好き嫌いなどの美的感覚に基づいた美的終活において、遺言書を作成しないデメリットはあるのでしょうか?
 
 
遺言書を作成しなかった場合、
残した財産はどのようになると思いますか。
 
 
まず、遺言書がなければ、
法定相続人がいる場合には、法定相続人が相続人となります。
 
そして、
法定相続人間での遺産分割協議により、残された財産の所有者が決定されます。
 
この遺産分割協議で家族間の欲望のぶつかり合いになり、争族と呼ばれる状態になることがあります。
 
 
そこで、
終活のいっかんとして遺言書を作成しましょうといわれるわけです。
 
 
もし、
自分の死んだあと、子どもなどの家族で遺産をめぐって争いになり、その後家族間に修復し難いキレツができるのは忍びないという美的感覚の人にとって、自分が終活のいっかんとして遺言書を作成しなかったばっかりに、家族間の争族になるのはつらいでしょう。
 
その人にとっては、
美的終活で遺言書を作成しないことで、家族間の争族に発展する可能性があるというデメリットがあります。
 
しかし、
自分の死後のことをできれば考えたくないという美的感覚の人にとっては、自分の死後に家族間で遺産をめぐって争いになっても、きっと自分にとって関係がないので、美的終活で遺言書を作成しないことのデメリットはないのではないでしょうか。
 
 
次に、
終活のいっかんとして遺言書を作成していないとき、法定相続人がいない人の場合に、残った財産はどのようになるのでしょうか。
 
その場合、
法律により残った財産は国庫に帰属します。
 
 
つまり、国のものになります。
 
 
自分の死んだ後のことはどうでもいいという美的感覚の人にとって、死んだあとの財産がどこにいこうが気にならないはずです。
 
そのような人の場合には、
残った財産がどうなろうが気にはならないのですから、美的終活で遺言書を作成するデメリットはないはずです。
 
しかし、
残った財産を国ではなく、お世話になった人や結婚はしてないけど長年パートナーだった人などに残したいという美的感覚の人にとっては、自分の大切な人に遺産を残せないので、美的終活で遺言書を作成しないことによるデメリットがあることになります。
 

美的終活で遺言書は不要のまとめ

 
自分の死を見つめることが嫌だという美的感覚の人にとって、
 
自分の死後のことを考えなくてはならない遺言書の作成は、終活の一環として遺言書を作成する必要はありません。
 
あなたが、自分が死ぬことを「縁起でもない」と否定する美的感覚の持ち主であれば、死後のことを考えるのは苦痛でしかないのですから、無理に終活だからといって遺言書を作成する必要はありません。
 
 
しかし、
自分の死後に遺産をめぐる家族間の争いを避けたいという美的感覚や、自分の死後、大切な人へ遺産を残したいという美的感覚をもっているのであれば、美的終活のいっかんとして遺言書を作成することをおすすめします。
 
 
遺言書を作成するかしないかは、
 
・あなた自身の美的感覚と相談して作成するかしないか、
・どのように終活の一環として遺言書を作成するか、
 
決定するようにしましょう。
 
 
一般社団法人マイライフ協会
代表理事 児玉浩子
 
 


 
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