老後資金が不足するおひとりさま女性にとって婚活がウルトラCになるのか?

老後資金が不足するおひとりさま女性で、婚活をしている人もいることでしょう。
 
ウルトラCとは、
体操競技における高難度の、大逆転を狙うべく繰り出す、最高難度のスゴ技をいいます。
 
最近、
老後資金を心配する2人の60代の女性の相談を受けました。
 
60代の女性2人とも、
老後資金が心配だから、婚活をしているというのです。
 
そこで、
老後資金が不足する女性にとって、婚活が老後資金問題を解決するウルトラCになりうるのか、検討したいと思います。
 

おひとりさまの老後資金はいったいいくらかかるの?

 
総務省統計局「家計調査」2017年によると、
高齢単身無職世帯(60 歳以上の単身無職世帯)の1か月の支出は、月平均で、消費支出が142,198円、非消費支出(税金や社会保険料)が12,544円の合計154,742円となっています。
だいたい15万円~16万円といったところでしょうか。
これはあくまで男女含めた平均であり、持ち家か賃貸かで、住居費は大きく異なってくるところです。

消費支出 142,198円
(内訳)
食料 35,418円
住居 14,538円
光熱・水道 12,989円
家具・家事用品 6,098円
被服及び履物 3,808円
保健医療 7,936円
交通・通信 13,148円
教育 0円
教養娯楽 16,852円
その他の消費支出 31,412円
諸雑費 13,262円
交際費 17,528円
仕送り金 589円
非消費支出 12,544円
(内訳)
直接税 6,611円
社会保険料 5,819円

※総務省統計局の「家計調査」2017年から転記させて頂きました。各項目を足すと若干誤差があるものと思われます。
 

おひとりさまの老後の婚活、いったいいくらかかるの?

 
老後の婚活にはいったいいくらかかるのでしょうか?
 
二人の相談者では婚活につかった金額に大きな差がありました。
 

老後の婚活で中高年向けの老舗の結婚紹介所を利用した場合

 
相談者のA子さん(65歳)は40代で離婚し、子どもはいません。
 
離婚後、生活のために仕事を始めました。パート仕事から始めましたが、働きながら簿記の資格をとり、小規模な会社で正社員で経理の仕事を10年ほど勤め、最近定年退職を迎えました。正社員で働いていた期間に厚生年金に加入できたこともあり、年金は月額で約11万円ほどだとのことです。
賃貸マンションに住み、家賃を払うと、残りは5万円ほど。月に数万円ほど、預金を取り崩す必要があるといいます。
 
そこで、
老後資金の不安もあり経済的に安定したいこと、一人暮らしの不安もあり、今後の人生のパートナーを探すことにしました。
 
老後の婚活では、
中高年向けの老舗の結婚紹介所を利用しました。
 
入会時には税込み4万円弱を支払い、月会費は9千円弱。
毎月2名紹介してもらえるコースだったそうです。
 
希望条件は60代以上。健康であれば、年齢に上限を設けませんでした。
 
現実的なA子さんは、
60代以上の男性であれば、年金生活者が多いだろうと予想しました。
 
年金生活者であれば、
年金で20万円も受給していれば十分だと考え、収入の希望は年収240万円以上にしていました。
 
現在A子さんは、
賃貸マンションの家賃負担が大きいと感じていたので、できれば持ち家の男性がよいと希望しました。
 
A子さんの現実的な希望条件により、毎月2名ずつ、紹介してもらえているといいます。
 
最近お見合いした13歳年上の78歳の男性と話が合うので、真剣に交際するか検討中だといいます。
A子さんの心配は13歳も年上だと、先に男性が亡くなり、またおひとりさまに戻ってしまう可能性が高いのではないかということです。
 
A子さんの場合、婚活をはじめて約6か月。婚活にかかった費用は入会時4万円弱、月会費で5万円強、お見合いを5回ほどで3万円弱の約12万円ほどだとのことです。
 

ネットを使ったマッチング系の結婚紹介所

 
B子さん(61歳)は、昨年仕事を早期退職しました。
本来なら、
あと5年は勤められたのですが、家族の不幸が重なり、心労がたたったこともあり、早めにリタイアしたそうです。
退職時にはいくらか貯金があったので、しばらくは生活ができる見込みでした。
ところが、
61歳になって、厚生年金の報酬比例部分だけ支給があるものの、2か月に3万円弱程。
どんどん預金が減っていきます。
そこで、
結婚して男の人に養ってもらうことを思いつきました。
入会金や初期費用、その他経費と月会費で1年間で50万円もかかるネットを使ったマッチング系の結婚相談所に入会しました。
B子さんの友人たちは、
高収入で資産を持つ男性と結婚している人が多かったので、B子さんはかなり高望みの条件を出したようです。
3か月が経っても、誰1人ともマッチングしませんでした。
そこで、
もう1箇所、ネットを使ったマッチング系の結婚相談所へ入会しました。
そこでも、
高望みの条件を変えることができず、誰1人ともマッチングしませんでした。
1年以上たち、
会費を含めると100万円以上支払い済みだといいます。
いまだにマッチングした人がいないそうです。
 

老後資金に不安があるおひとりさまにとって婚活は有効か?

 

結婚相談所の会員期間

 
少し古いデータではありますが、
経済産業省「少子化時代の結婚関連産業の在り方に関する調査研究報告書」(平成18年5月2日)があります。
 
会員期間(月数)の平均は、
成婚に至った場合は、男性11.5か月、女性が10.0か月。
成婚に至らない場合は、
男性が24.3か月、女性が21.9か月とのことです。
あくまで平均ですが、
成婚に至る人は1年以内に結果が出ているようです。
 

結婚相談所の成婚率

 
同様に、
経済産業省「少子化時代の結婚関連産業の在り方に関する調査研究報告書」(平成18年5月2日)によると、全会員のうち1年間で成婚した会員割合の目安である暫定成婚率は、男性会員で8.4%、女性で10.1%。
男性会員の12人に1人、
女性会員の10人に1人でした。
これは、
若い男女の成約件数を含めたものですので、高齢の男女だともっと成婚率が低いものだと考えられます。
最近は高齢の男女の結婚が増えたとききます。
しかし、
私の周りではほとんど高齢で結婚した人が思い浮かびません。
 

高齢者の婚活の事情

 
男性高齢者が婚活する理由として、
料理や洗濯などの家事をしてくれる人を確保する、自分の介護をしてくれる人を確保する、高齢の親の介護要員を確保するという現実的な問題解決のためが多いといわれています。
それに対し、
女性高齢者が婚活する理由として、経済的安定を目指すことが多いそうです。
 
男性に対し経済力を求める女性が、男性の家事・介護、さらにその男性の親の介護まで含めて求められていることを理解して婚活しているのか疑問です。
 

老後資金確保のために婚活は有効か?

 
おひとりさまの女性が老後資金確保のために婚活するのは、有効なのでしょうか?
 
Aさんのように、
相手に高望みせず、現実的に婚活の成果をあげることができれば、有効といえます。
 
しかし、
結婚相談所の成約率を見るかぎり、お金を使って婚活しても、女性で成婚できるひとは10人に1人です。
 
なけなしの老後資金をつぎ込んで、婚活にのめりこむのは老後資金の減少を招きます。
Bさんのように、
預金を取り崩して生活しているにもかかわらず、経済力のある男性との結婚を夢見て、大金をつぎ込むのは危険ではないでしょうか。
老後資金に無理のない範囲で、婚活することがおススメです。
 
 

老後資金が不足するおひとりさま女性にとって婚活がウルトラCになるのか?まとめ

 
①結婚相談所の成婚率は女性で10%程度
②結婚相手を求めて、婚活に大金を注ぎ込んでも、結婚できるとはかぎらない
③老後資金に無理のない範囲で婚活するのがおススメ
 
いくつになっても、
心の支えとなる家族ができるのは、すばらしいことです。
 
しかし、
老後資金が不安で婚活しているにもかかわらず、婚活に大金を注ぎ込むと、老後資金が大きく減少してしまいます。
 
そこで、
老後資金に無理のない範囲で、婚活することがおススメです。
 
婚活では、
お見合いだけでなく、パーティーやバスでの1日旅行など、いろいろなイベントがあります。
 
家の中でじっとしているよりも、
活動的に生活できるので、老後資金に無理のない範囲でイベントに参加するのもありだといえます。

一般社団法人マイライフ協会

代表理事 児玉浩子