老後の生活、子どもに頼るのはもう時代遅れ!?

かつては子どもと同居し、子どもに老後の面倒をみてもらうのがあたりまえでした。
 
当初年金は任意加入ということもあり、無年金の高齢者も多くいました。
 
無年金の高齢者の老後を養っていたのは、子どもでした。
 
それがあたりまえの世界が広がっていたのが、かつての日本でした。
 
今の日本で、老後の生活を子どもに頼れるのでしょうか。
 
 

変わる家族の形が老後の日常生活へ影響

 
 
日本の家族の形の変化を見てみましょう。
 
戦前は家長を中心とした大家族。
その後は、
1960年代の高度成長期を経て夫婦と子どもからなる核家族へ。
そして、
近年は未婚者や結婚しても離婚する人の増加により、単身世帯も増えています。
 

三世代同居率の激減

 
平成29年版高齢社会白書(内閣府)によると、昭和55年(1980年)の三世代同居率は、50.1パーセント。
それが、
平成27年(2015年)には、12.2パーセントへ。
三世代同居率は35年間に激減しています。
 
●三世代同居率

昭和55年(1980年) 平成27年(2015年)
50.1% 12.2%

 
介護保険制度が始まったのが2000年です。
 
それ以前は、
高齢者の介護は家族が担っていました。
 
核家族化が進んだとはいえ、
1980年代には、親が寝たきりや認知症、一人暮らしなどになった場合、子どもは帰郷して同居して親の面倒をみることが一般的でした。
 
ですから、
子どもがいれば安心できたのです。
 
では、
現在はどうでしょうか?
 

高齢者のみの世帯の激増

 
65歳以上で、
高齢者のみの単独世帯と夫婦のみの世帯は、昭和55年(1980年)には28.1パーセント。
それが、
平成27年(2015年)には、56.9パーセントへ。
高齢者のみの世帯が過半数を超えました。
 
●高齢者のみの世帯

昭和55年(1980年) 平成27年(2015年)
28.1% 56.9%

 
親が寝たきりや認知症、一人暮らしなどになった場合、同居してくれる子どもは減っているのではないでしょうか。
 
かつてのように、
長男の嫁は、夫の親の介護をしてくれなくなりました。
 
そして、
子どもと同居できないのですから、子どもに介護などを任せておけば、親は安心という時代ではなくなりました。
 

老後の日常生活に不安を感じる人は6割以上

 
かつて、
三世代同居率が50パーセントを超えていた時代に、老後不安を語る高齢者は少なかったのではないでしょうか。
 
では、
現在はどうでしょうか。
 
平成29年度の「国民生活に関する世論調査」(内閣府)では、60歳から69歳の人の約65パーセント、70代以上の約61パーセントの人が、日常生活での不安や悩みがあると答えています。
 
●日常生活での不安や悩みがある人の割合

60歳から69歳 70歳以上
64.7% 60.1%

 
現在、
一人暮らしの単身世帯が急増しているそうです。
 
かつては、
高校を卒業し就職や大学進学で一人暮らしを始める人や、就職して親元を離れる人などの若い単身世帯が多かったようです。
 
しかし、
現在急増しているのは、核家族を卒業し、夫婦のみの世帯になった後、配偶者が亡くなり、残された人の単身世帯だそうです。
 

老後の生活、子どもに頼るのはもう時代遅れまとめ

 
①三世代同居率は激減し、子どもとの同居は減少している。
②65歳以上の高齢者ではおひとりさま高齢者の世帯と高齢夫婦のみの世帯が過半数を超えている。
③現在急増している単身世帯は、核家族を卒業し、夫婦のみの世帯になった後、配偶者が亡くなり、残されたおひとりさまの世帯である。
 
かつては、
子どもがいれば、子どもに老後の生活を丸投げできました。
 
子どもは、親の面倒をみるのがあたりまえでした。
 
高齢者にとって古き良き時代でした。
 
現在は、どうでしょうか?
 
老後の生活を子どもに頼るのは可能でしょうか?
高齢者は時代にあった、老後準備が必要なのかもしれません。
 
一般社団法人マイライフ協会
代表理事 児玉浩子