おひとりさまが財産を残す2つの方法

おひとりさまでも内縁関係のパートナーがいる場合があります。
 
(その場合は、おひとりさまとはいえないかもしれません。)
 
しかし、
法律婚をしていない以上、内縁関係のパートナーでは法定相続人にはあたらないことになります。
 
では、
パートナーやお世話になった人におひとりさまは財産を残す方法はないのでしょうか?
 

おひとりさまが財産を残すには遺贈を使う

 
事情があり籍をいれていない内縁のパートナーに財産を残したいと考えるのは、自然なことです。
 
また、
子ども達ですら介護してくれなかったのに、懸命に介護してくれた嫁に財産を残したいと考えることもありえます。
 
そのときに利用できるのが遺贈です。
 
遺贈とは、
遺言によって特定の人に財産を残す方法です。
 
遺言は、遺言書を作成する必要があります。
 
それも、法定の方法でしなければなりません。
 
もし、法定の方法で作成しない場合には、無効となってしまうからです。
 
では、遺贈にはどのような方法があるのでしょうか?
 
 

包括遺贈

 
包括遺贈とは、
遺言書の中で、「全財産の5分の1を嫁に与える」など、与える財産の割合と与える相手を指定する遺贈をいいます。
 

包括遺贈のメリット

包括遺贈のメリットは、
遺言書作成時から相続が発生するまでの間に、相続財産が入れ替わることがあります。
 
たとえば、
遺言書作成時には家と敷地が財産としてありましたが、老後の生活資金確保のために、売却して現金に変わったりします。
 
その場合に、
包括遺贈だと、遺言書を書き換えることなく、対応できます。

包括遺贈のデメリット

包括遺贈のデメリットは、
遺贈を受ける包括受遺者は、相続人同様に権利だけでなく義務も負うことになります。
 
包括受遺者は、
プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継がなければならないことになります。
 
借金などは、遺言書にある指定割合に応じて負わなければならないことになります。
 
お世話になった人に、借金などのマイナス財産を残すことは抵抗があるかもしれませんね。

特定遺贈

特定遺贈とは、
遺言の中で、「家と敷地を内縁の妻に与える」というように、特定の財産を特定の人へ遺贈することです。
 
内縁の妻に、一緒に住んでいた家を残したい場合などに有効です。

特定遺贈のメリット

特定遺贈のメリットは、
遺言書で指定されていない限り、特定受遺者には借金などのマイナスの財産を引き継がなくてすむことです。
 
お世話になった人に借金などのマイナスの財産を残したくない場合には、有効な方法です。

特定遺贈のデメリット

特定遺贈のデメリットは、
遺言書で指定した特定の財産が、遺言者の死亡によって相続時になかった場合、内縁の妻などの特定受遺者は財産を引き継げないということです。
 
たとえば、
「内縁の妻には家と敷地を与える」という遺言書の内容であったにもかかわらず、老後資金確保のために家を売ってしまった場合には、内縁の妻は相続できる財産がないことになってしまいます。
 
そこで、
いったん遺言書を作成しても、財産の内容の変化に合わせて、遺言書の訂正をする必要があります。
 
1年に1度年末に遺言書の見直しをするなど、遺言書の訂正の習慣があるといいですね。

おひとりさまが財産を残すには死因贈与を使う

死因贈与は、
財産を残す人(贈与者)と財産をもらう人(受贈者)の契約で行います。
 
贈与者の死亡を条件として、受贈者へ財産を贈与することを契約します。
 
贈与契約の一種です。
 

死因贈与のメリット

 
死因贈与は契約なので、遺言書のような法定のルールはありません。
 
また、遺贈のように遺言書で一方的に財産を残すものではなく、財産を残す贈与者と、財産をもらう受贈者が納得の上、契約できます。

死因贈与のデメリット

死因贈与は一種の贈与契約です。
 
財産を残す贈与者と、財産をもらう受贈者双方が納得の上、契約するものです。
 
そのため、贈与者の死亡時に、受贈者が財産を欲しくないと思ったとしても、相続放棄することができません。
 
死因贈与契約時に、財産をもらう受贈者は、その財産がほんとうに欲しいのか、よく検討してから契約することをおすすめします。

おひとりさまが財産を残す2つの方法まとめ

①おひとりさまがお世話になった人に財産を残すには包括遺贈という方法がある。
②おひとりさまがお世話になった人に財産を残すには特定遺贈という方法もある。
③遺言書で残さない場合には、死因贈与契約という方法もある。
 
内縁の配偶者や、介護で世話になった親族へ、財産を残したいと考えるのは自然なことです。
 
その場合には、遺贈と死因贈与という2つの方法があることをお伝えしました。
 
マイナスの財産を渡したくない場合には、特定遺贈や死因贈与契約で特定の財産を残せばいいことになります。
 
どのような財産を残したいのか、よく考えて、包括遺贈、特定遺贈、死因贈与という方法の中から選択できます。
 
お世話になった人へ最期に感謝を込めて、財産を贈れたらいいですね。
 
一般社団法人マイライフ協会
代表理事 児玉浩子

 


 
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児玉浩子
 

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M.T.さん
 
M.T.さん(50代)
 

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Aさん69歳女性
 
Aさん(69歳女性)
 

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Bさん(74歳男性)
 
Bさん(74歳男性)
 

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